キャブレターの話002  

  
前回は気候について考えてみました。
  
今度地理的条件とエアクリーナー辺りを考えてみようと思います。
  
【地理的条件】
  
これは気候と同じです。
地理的に高度が高い場所に住んでいれば、空気の厚みは減少しますので
気圧は下がります。
よって、酸素濃度は海抜0mより低くなります。
また、海や川、湖、森等の近くを走れば、その蒸発した水分によって
湿度が上昇し、これまた酸素は濃度は微量ですが下がります。
水分は熱エネルギーだけで蒸発するわけではありません。
風があり、水面に波が立っていれば、空気と水との境面に生まれる
摩擦が高い状態といえます。
その摩擦エネルギーでも蒸発しますし、
また、大気中が乾燥していれば、その分濃度の差によって
気化して濃度の均衡を保とうとします。
  
そんなワケで水に近いところを走行すれば、当然湿度は高いですし、
高度が高いところでも変化するというわけです。
  
【エアクリーナー&ボックス】
FCR等のキャブレター=レース仕様=ファンネル
という図式があります。
ファンネル?というのはエアクリーナーボックス
を解さず、キャブレターに直接空気を取り込むパーツです。
もちろんそちらの方が大量の空気を直接取り込めます。
埃等の入らないようにフィルーターもあります。
  
んではエアクリナーボックスって「何のためにあるの?」
となりますが、
私が思うのは「エアクリーナーボックス」は何も
パワーを絞るためにつけているワケでも、静かにするために
だけについてるとは思いません。
実際パワーを絞るなら、小さいキャブレターをつけてしまえば
空気の通過できる絶対量は小さくなりますし、
キャブレターの中に溶接でもして半分ぐらい覆ってしまえば
済む話ですよね。
  
で、ボックスは「空気を選ぶ」ための選別ボックスだと思えば
良いのではないだろうか?と思います。
そうです。そのエンジンに必要な空気を条件を詰める事で
条件を出来るだけ同じにしようという働きです。
  
例えばDトラの場合ではボックスにフタがついて+ダクトがついています。
 1-フタ無しの場合
  ボックスは底辺が吹き戻し用の穴こそ空いてはいても、
  覆われています。また左右前後ろ4編も覆われています。
  その状態だと左右の箱の上より上にくる、オーバーフロー
  (上澄み)した空気だけを選べるということになります。
  よってその位置より重い湿度の多く含んだ空気を入りにくくし
  なおかつ、重い小石や埃等もある程度排除できるようになります。
  
 2-フタ有りの場合
  もっと入ってくる空気を限定できます。空気の進入口が
  かなり絞られますので、湿度等は限定できなくとも、
  巻き込み風に煽られた小石や埃ですら、「たまたま」入った
  感じになります。イメージ的にはパチンコの様な感じでしょう。
  また風に煽られた雨粒等も直接入れる事は少なくなるでしょう。
  
 3-ダクト付き
  ダクトの穴の高さまでの湿度の低い空気を選べ、
  なおかつ雨など巻き込んだ風も、ダクトが後方を向いて、
  高さがあるためにほぼ進入を妨げます。
  当然埃・小石の進入も「偶然」ぐらいな勢いにすることが
  出来ます。
  
簡易型のエアコンディショナー的な意味を持っています。

そして次に待っているのは「エアクリーナー」
密度の異なるスポンジを積層にした構造ですが、多くは湿式で、
油分を含んでいます。
油は一般的に分子構造が複雑で、表面積が大きく、
水気をはじきます。
空気中の酸素はO2水分はH2O
確かに微々たる大きさですが、
水は酸素より分子構造が複雑なので、
フィルター内に入り込むとき、スポンジやスポンジに
しみこませてある油分に接触しやすくなります。
接触が多く、しかも弾かれるとなると、酸素よりは
進入しにくい状態を生み出せます。
(「進入しにくい」だけで当然進入できますけどねw)
当然スポンジの目よりも大きい埃は進入できなくなくなります。
  
乾式でも「紙等」の素材で吸湿性を上げて
湿度に対応していますけどね。
  
そんなワケで、何段階にも空気を選別しその状態で最も
エンジンに適した「上質で」「安定」した空気を取り込む
ためのシステムだと思って下さい。
  
以前私が乗っていたCBR600F(99')は
思い切り前面にダクトがあり、途中水だけは溜まる用に
高さをつけて、いましたが、ボックスまでスールでした。
虫も小石もどんとこいで、葉っぱ蜂など
沢山のモノが入っていましたw

しかし、ボックス内部では同じような構造を持って、入ってきた
空気を壁にぶつけ、オーバーフーロー分だけがエアクリーナを
通過出来るようになっていました。
蜂や小石はフィルターに絶対到達することは出来ない用に
作られていました。
(っても、月一で掃除してましたけどw)
ただの箱、ただのスポンジ。
「パッ」と見そうですが、
かなりハッキリした「優秀な」機能を持ってついています。
  
「見た目ファンネルの方がカッコイイ」
という理由で外すには勿体無いぐらいの
「カッコイイ機能が」あることをお忘れなく^^
  
また、その「ダイレクトさ」そのなんでも御座れの
懐の広さが「男気」だ!
という方もいるかもしれません。
でも、「モノを注意して観察し、自分に必要なモノを選ぶ」
という冷静さも必要かもしれませんねぇ。
どこでも走破出来る、「懐の広さ」も男気な気がしますしw
  
エンジンにも環境にも優しいですしね^^
ただ、レースなどで仕様するために「極限」
を求めるなら、そんなモノはいりません。
ファンネルでもRAMエア加圧でも、
極限までマシーンの性能を高める事が、大事になるでしょう。
  
自分に合った、楽しめる「相棒」をどの位置に持ってくる
かは人それぞれですね^^